孤独担当大臣が日本で設置された理由は?孤独担当大臣の仕事は何?

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2021年1月28日(水)午後に行われた参院予算委員会で、菅総理大臣は、コロナ禍で増加傾向が顕著となっている様々な『孤独問題』に対応する閣僚として、田村憲久厚生労働相を任命しました。


田村憲久(たむらのりひさ)厚生労働相  自民党公式サイトより引用


今回は、聞きなれない『孤独問題大臣』が突然任命された背景と、すでに『孤独問題大臣』が存在するイギリスと比較しながら、日本での『孤独問題大臣』がどのような仕事をすることになるのかについて考察していきたいと思います。

孤独問題担当大臣が日本で設置された理由は?

孤独問題担当大臣については、28日の参議院予算委員会において、国民民主党の伊藤孝恵議員への答弁に応える形で、突然、菅総理大臣から指名されて田村憲久現厚生労働相が任命されました。
伊藤孝恵議員は、コロナの影響を踏まえつつ、昨今のひとり親や不登校など、「望まない孤独」の問題が多様化していると指摘したうえで、担当閣僚を置いて対策を進めるべきではないかと、菅総理に詰め寄ったことが発端となっています。
田村憲久厚生労働相への根回しは事前に行われていなかったようで、田村憲久厚生労働相自身が、突然の任命に思わず「えっ!?」という驚きの声を上げています。

ユキ
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まさにコントのようなやり取りでしたね。
まさか、思い付きでの任命とは考えたくないですが・・・。

コロナ禍での心の健康に関する相談数の増加について

昨年4月、1回目の緊急事態が発令された後の2か月間で、心の健康に関する相談件数が突出して伸びていることがわかります。
男女比で比較すると、女性の方が65%と半数以上を占め、年代では不明を除くと、働き世代・子育て世代の40代と50代が多くなっています。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症にかかる心の健康相談に関する精神保健福祉センターの対応状況」

主な相談内容としては、以下の通りです。

・感染への恐怖・不安
・自身の感染により、周囲を感染させていないか不安
・家族が感染し、辛い思いをした
・失業や仕事、アルバイトの減による収入減少で、生活が不安
・求人の減少による就職活動に対する不安
・飲酒量の増加
・家族が在宅勤務で家にいることによるストレス
・外出自粛によりストレスがたまる
・人と会う機会が減り、憂鬱になった
・通院先に感染者がいるのではないか
心の健康が全て、孤独問題に直結するわけではありませんが、放置することによって、うつ病を発症させ、周りとの関りを絶ってしまう恐れもあることから、決して切り離すことはできない問題ではないでしょうか。

コロナ禍での自殺者の増加について

2021年1月22日、警察庁と厚生労働省が発表した2020年の自殺者数は、速報値として前年比750人増(3.7%増)の2万919人でした。
自殺者数は、リーマン・ショック直後の2009年以来、これまで10年連続で減少していましたが、11年ぶりに増加に転じています。

下のグラフは2019年と2020年の自殺者数を月別に比較したものですが、コロナ感染がさらに拡大した10月に、一気に増えていると事が気になりますね。


男女別では女性が、年代では若年層の増加が目立つ結果でした。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や生活環境の変化が影響した恐れがあるとの見解が出されています。

コロナの影響を抜きにして考えても、俳優の三浦春馬さんや、女優の竹内結子さん、芦田星さんなど、将来を有望された若い方々が自ら命を絶ったという非常に残念で悲しいニュースも記憶に新しいですね。

親しい友人や家族に悩みを打ち明けることもなく、死を選ぶことしかできなかった彼らは、いったい心の中にどれほどの深い闇や孤独感を抱えていたのでしょうか。
愛する人を、何の前触れもなく突然失ってしまった周りの人たちの想像を絶する苦しみや悲しみを思うと、胸が詰まってしまいます。

日本の高齢者数の増加について

日本の高齢者は、2020年以降、主要7か国の中で圧倒的に多く、世界の他国と比べても最も多いというデータがあります。
総務省統計局による最新のデータをご覧ください。

我が国の総人口(2020年9月15日現在推計)は、前年に比べ29万人減少している一方、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は、3617万人と、前年(3587万人)に比べ30万人増加し、過去最多となりました。総人口に占める割合は28.7%と、前年(28.4%)に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高となりました。

毎年、過去最高を記録している状態です。
ここで浮かび上がるのが、孤独死の問題ではないでしょうか。
孤独死に関しては、「『孤独かどうか』は個人の内面の問題を含んでおり、孤独死をどう定義するかが難しい」と厚生省の担当者が語る通り、全国的なデータは存在しません。
例えば、子どもがいない、あるいは独立していたり、配偶者に先立たれた等で一人になり、周りと関りを持てず、人知れず亡くなってしまう高齢者が一定数いることは想像に難しくありません。

ひとり親世帯の増加について

2015年(平成27年)に行われた国政調査によると、一般世帯が5,300万世帯以上に対して、その中で母子世帯が約75万世帯(1.42%)、父子世帯が約8.4万世帯(0.16%)という結果になりました。

母子家庭と父子家庭を比べると、比率としては圧倒的にひとり親世帯は母子家庭が多くなっています。
女性が社会的な進出もめざましくなったとはいえ、その就業状況はパート・アルバイトが最も多く、収入が安定せずに経済的困難に陥ってしまう現実も否定できません。
経済的困難で子どもの勉強や進学に影響を及ぼし、そこで貧困の連鎖が起こってしまう可能性もあるのです。
そのような悩みを打破することができず、日々苦しみ、孤立してしまう可能性もあるのではないでしょうか。

孤独問題担当大臣の仕事は?

イギリスの孤独問題対応大臣の役割

突然設置された孤独問題担当大臣ですが、世界に先駆けてイギリスには孤独問題担当大臣が当時のメイ首相により2018年に任命されています。

前述の通り、「孤独」を定義付けるのは難しいのですが、イギリス政府は「孤独」について次のような定義を採用しています。

「人付き合いがない、または足りないという、主観的で好ましくない感情」「社会的関係の質や量について、現状と願望が一致しない時に感じる」

孤独問題が医療費や経済を圧迫しかねないと考えたイギリス政府は、23年までに全国の健康医療システムに「社会的処方」を適用する方針を発表しています。
医者により「社会的処方」が必要と診断された場合、『リンクワーカー』に連絡し、リンクワーカーが患者のニーズに合った地域活動への参加を手配したり、ケアを受けたりできるよう調整したりする仕組みです。

また、孤独に対して抵抗感が強く、受け入れられない若年層が多いという調査から、2020年度からはイギリス政府が主導して小中学校のカリキュラムに孤独の学習を組み入れることを決めています。

イギリスでの孤独問題大臣は、このように政府が民間と連携して積極的に孤独問題に取り組む際の旗振り役として活躍しているようです。

日本での孤立問題担当大臣の仕事は?

突発的に(?)できた印象が否めないのですが、日本では孤立問題担当大臣が任命されたばかりですから、具体的にどんなことをしていくのかはこれから明らかになっていくことになります。
上記のように、孤独を社会問題として捉えたうえで、一人一人に合わせてきめ細かい対応を目指すイギリスの実践例は、日本にとっても大きなヒントになるのではないでしょうか。

まとめ

孤独と言えば高齢者というイメージが強いですが、最近では離婚、家族の死、経済状態の急変など、誰にでも起こりうることですよね。
そんな中、孤独問題大臣が設置されたことでどれほどの効果があるのかについては、まだまだ未知数です。
これをきっかけに、これからの日本が誰にとっても、心の闇を明るく照らし、安心して穏やかに暮らせるような希望と光にあふれた国になることを心から祈りたいです。

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